ハローワークに行ったら3年前に退職扱いになっていた。というツイートを見ました。
住民税や雇用保険は控除されていたとのこと。こうなると管理記録の整合性がとれないので調査が進めばいずれ解決すると思います。
会社を一か月前に辞めたのにハロワに行ったら三年前に退職したことになってたんだけど – Togetterまとめ
このような雇用のトラブルに備えて従業員の立場でできる自衛策として、保管したほうが良い書類などを考えてみました。いざという時の材料になれば。
ここでは一般的なサラリーマンやパート・アルバイトを例にしています。契約形態によってはあてはまらない人もいると思いますのでご了承ください。
最初に書いておきます。私が考えた保管しておいたほうが良い書類などは以下になります。
- タイムカード
- 休日出勤などの各種届出書
- 給与明細書
- 源泉徴収票
- 保険料の決定通知
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
- 雇用保険被保険者証(預かっていれば)
- 住民税の決定通知書
- 労働条件通知書
- 就業規則(提供されていれば)
では順番に行ってみましょう。
勤怠情報
勤怠情報とは、何時、何時間働いたかを記録したものですね。給与の計算の基礎になる情報です。
タイムカード
従業員が手にする勤怠情報といえばタイムカードです。
タイムカードのコピーを取っておくのは有効です。何時、何時から何時まで仕事したのか詳細にわかりますからね。
タイムカードは最低でも過去2年分は取っておきましょう。
これは残業代が支給されなかった場合、2年まで遡って請求できるからです。タイムカードがその証拠になります。
タイムカードの保管で注意したいのは以下の2点です。
- コピーの方法
- タイムカードは提出後、修正される場合がある
コピーの方法
会社のコピー機を使ってコピーをとると私用で使ったことになります。会社のコピー機を使うときは許可が必要ですが、怪しい会社ほどそんな許可してくれませんよね。
複合機のメール転送機能を使ってこっそり自分宛にメールを送る方法もありますが、これもバレたら面倒です。
おすすめはスマホでの撮影です。写真に撮っておけばデータで保管できます。無音で撮影できるアプリを使えば目立たず撮影できます。人目が心配ならトイレでこっそり…とか。
手書きも有効ですが現物を撮影したほうが記録日時もわかるので便利です。
タイムカードは提出後、修正される場合がある
タイムカードの情報は提出後に修正される場合があります。
変更の理由はいろいろありますが、通常の処理では打刻ミスなどの修正があります。出勤時刻に退勤時刻を打刻してしまった場合などですね。
その他にも事由(半休など)により記録を修正する場合もあります。これらは正しい計算をするためなので悪意がある改ざんではありません。
悪質な会社では改ざんもあるかもしれませんが…
あなたが持っているタイムカードの記録が最終的な決定ではない場合があることだけ覚えていただければと思います。
保管するもの:タイムカード
休日出勤や振替休日の届け
タイムカードの記録だけでは勤怠情報として不足があります。このため休日出勤や振替休日の届出書なども残しておくと良いです。
タイムカードの平日に打刻がない場合、何時の振替休日(または代休)なのかわからなければ正しい給与計算ができません。
これらの届出書は有給の日数の計算にも必要な情報になります。
保管するもの:休日出勤などの各種届出書
給与情報
ここで言う給与情報とは、支給額や控除額を記録した情報です。
給与明細書
給与情報といえば給与明細書です。
タイムカード同様最低でも過去2年分は取っておきたいですね。
最近はウェブ給与明細書も増えていますが、多くのサービスが2年間は閲覧できるようになっています。
給与明細書には、計算の根拠となる勤怠情報も含まれます。ただし、この勤怠情報は1か月分の集計結果なので詳細はわかりません。なのでタイムカードも必要になります。
保管するもの:給与明細書
※ウェブの場合はPDF化しておくと良いです
源泉徴収票
その他の給与情報に源泉徴収票があります。
年末調整が終わると給与明細書と一緒に配布する会社が多いですね。時期は12月だったり1月だったり会社によりさまざまです。
源泉徴収票の内容は所得税や住民税を計算する基礎となる情報です。
住民税の対象となる人は、会社から自治体へ給与支払報告書(内容は源泉徴収票と同じ)が送られます。自治体は給与支払報告書を基に住民税の計算をします。
つまり、源泉徴収票の内容は、会社、従業員、自治体の3者が共有する動かしようがない有力な情報ということです。
保管するもの:源泉徴収票
保険情報
保険に関わる情報は給与明細書を見ればわかります。控除されていれば加入しているハズです。
健康保険と厚生年金保険
社会保険に加入すると保険証を受け取るのでわかりやすいですね。給与明細書にも健康保険と厚生年金保険が控除欄に金額がありますよね。(40歳以上なら介護保険も)
健康保険と厚生年金保険は年に1回、再計算します。再計算の結果、新しい保険料が9月から適用されます。(定時決定)
基本給などの基礎的な支給額が年の途中で変わった場合は、9月以外でも保険料が変更になる場合があります。(随時改定)
定時決定、随時改定のいずれも保険料が変わる場合は必ず通知する義務があります。
この保険料の通知も保管しておけば、控除額との不整合を見抜く材料になりますね。
また、保険加入者全員の情報が社会保険事務所や年金事務所へ従業員の個人名入りで提出されるため、住民税と同じように会社、従業員、各事務所の3者が同じ情報を共有していることになります。
保管するもの:保険料の決定(改定)通知
雇用保険
雇用保険も加入していれば給与から控除されるので給与明細書を見ればわかります。(普通は)
雇用保険に加入した人には『雇用保険被保険者資格取得等確認通知書』と『雇用保険被保険者証』が発行されます。
通知書は手続きが完了したお知らせです。雇用保険加入者に必ず渡す書類です。もらってなければ未加入の可能性あります。
一方、被保険者証のほうは会社が保管している場合があります。大事な書類の割にとても小さい紙なので紛失してしまう人が多いためです。
被保険者証の管理は会社に任せても構いませんが、通知書は必ず受け取りましょう。
保管するもの:雇用保険被保険者資格取得等確認通知書、雇用保険被保険者証
住民税
給与から住民税が控除されていれば、これも給与明細書で確認できますね。
その他、住民税は毎年5月に税額が確定するので6月(または7月)の給与明細書と一緒に『住民税額の決定通知書(納税義務者用)』という細長い紙が配布されます。(ハガキサイズの自治体もあります)
この決定通知書に毎月控除される税額が記載されています。給与から控除する税額も決定通知書を基にしています。したがって、給与から住民税が控除されているのに決定通知書が無いということはありません。
住民税の決定通知書は自治体から会社へ送付され、個人に配布するものです。公的な記録になるので必ず保管しましょう。
保管するもの:住民税の決定通知書
その他
日々の記録も大事ですが、そもそもの雇用契約の条件などを明記した書類も取っておきたいですね。
入社時に『労働条件通知書』をもらっているハズなので、これも大事に保管しましょう。何時、何時から何時まで、どこで、どんな仕事をするのか記載されている大事な書類です。
就業規則(簡易版でも)も提供されていたら保管しましょう。ただし、就業規則は改定されている場合もあるので要注意です。
保管するもの:労働条件通知書、就業規則
トラブルが発生したら
雇用に関わるトラブルが発生したら、まずは会社に確認です。いきなり労基署に駆け込んだり、ネットに社名を晒すのは得策ではありません。
会社の手続き上のミスもあり得ます。というか、ミスはあります。処理をするのは人間ですから。
計算ミスの場合、遡及(さかのぼり)処理できるケースが多いです。落ち着いて対応しましょう。
また、社会保険は加入条件があります。雇用条件の変更によって保険から外れることもあります。勘違いや思い込みから話を大きくしてしまうケースもあるでしょう。
会社の説明にどうしても納得がいかない場合は、労基署やハローワークへ相談すると良いと思います。
それでも解決が難しい場合は弁護士に相談ですね。
さいごに
冒頭にも書きましたが、もしものために保管しておきたいものをまとめると以下のようになりました。
- タイムカード
- 休日出勤などの各種届出書
- 給与明細書
- 源泉徴収票
- 保険料の決定通知
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
- 雇用保険被保険者証(預かっていれば)
- 住民税の決定通知書
- 労働条件通知書
- 就業規則(提供されていれば)
※雇用形態によって過不足はあると思います
原本が無い場合は写真を撮ったり手書きで書き写しても良いです。とにかく記録を残すのが大事です。
これらを材料に専門家の指示に従うのが一番良いと思います。
泣き寝入りする必要はありません。こんなときこそ行政のチカラを借りて解決しましょう。
くれぐれも単身でブラック企業を懲らしめてやろうなんて考えないことです。ブラック企業は何をするかわかりませんから。
それではまた。