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大型書店で増えた「本のタワー積み」は不適切だと思う理由

投稿日:2016年5月7日 更新日:

本を大人の身長より高く積み上げる「タワー積み」や、複雑な形状で積み上げる「スパイラル積み」が大きな書店で見られるようになりました。

一見おもしろそうな試みだけど、本のタワー積みは商業的にも広告的にも間違っていると思います。



本の売り方に感じる疑問

最近、大きな書店で見かけるようになった本をバベルの塔のように積み上げるタワー積み。いや、もうバベルの塔だけではなく、いろんな形で積み上げて話題になっています。

タワー積みとは以下で紹介されているようなものを指します。
【画像あり】本屋の「タワー積み」とか「スパイラル積み」って本が痛むだろ 商品で遊ぶなよ : 哲学ニュースnwk

すごい!

おもしろい!

感じ方はひとそれぞれです。確かに注目は集められます。宣伝効果もそれなりにあるでしょう。しかし、商品は売れれば良いというものではありません。売り方を誤ると買い手は静かに離れて行きます。

静かに

静かに

わざわざクレームなんて言いません。そんなやさしい人はごく一部です。人は売り方が気に入らなければ、静かにその売り場から離れて行きます。

静かに

静かに

本のタワー積みという売り方は本当に正しいのでしょうか?

商品をディスプレイ本体に使ってはいけない

私は写真を通してディスプレイを制作する仕事もしていました。商品ディスプレイに写真は付きものですから。

しかし、ディスプレイ本体に実物の商品を使うことはありませんでした。これは至極当然のことです。なぜなら商品は「売り物」だからです。

ディスプレイに商品を飾りたいときは商品サンプルを使用するか、商品を置くスタンドなどを作り、そのスタンドに商品を置きます。

スーパーに行くと野菜や果物が綺麗に並べられています。これは商品が綺麗に陳列して見えるスタンドを使用しているためです。見せ方は、土台を作るなどの工夫をするものです。

本のタワー積みは、本そのものをディスプレイにしています。ディスプレイというよりオブジェと言ったほうが合っているかもしれません。これは商品の扱い方として間違っています。

商品は「売り物」であって、ディスプレイでもオブジェでもないからです。属性を取り違えてはいけません。

顧客に与えるストレス

本物の商品でオブジェを作ると顧客にストレスが生まれます。

商品は客が購入できるはずのモノです。

店舗に陳列されたモノは、価格が提示されていれば、客は購入できるものと認識します。商品を手にとってレジカウンターに持っていくことで売買契約が結ばれます。契約書などは取り交わさなくても商法的にはそういうことです。

商法など学ばなくても、ひとは生活のなかで自然にこのルールを学びます。

しかし、オブジェクト化された本は「買える商品」なのか「買えないディスプレイ」なのか判別ができません。

見た目は商品なのに買えないかもしれない

実際にタワー積みされた本をエクスカリバーよろしく引き抜いて買える勇者は少ないでしょう。その時点で商品でありながら商品の性質を失っていると言えます。

商品でありながら商品の性質を失っているモノが店舗にあるのは異常です。ここに違和感を感じる人はいると思います。

これ、売り物なの?

そんな疑問を抱いた瞬間に顧客はストレスを感じます。

売り物とディスプレイは明確に別けるべきです。

宣伝のあり方

本のタワー積みは話題性はあります。見た目が派手ですからね。注目されて客が集まることもあるでしょう。宣伝としてはある程度成功しているかもしれません。

しかし、あのタワーを見て不愉快だと思っている人もいます。この不愉快という感情はなかなか教えてもらえるものではありません。

本を愛するひとが、本で遊んでいるようなオブジェを見たら、どう思うでしょう。

広告の世界では、話題性はあっても社会性や倫理観に疑問を感じるものもあります。最近では酷い場合はSNSなどで火が付きます。しかし、大炎上でもしなければ話題を提供している側は気づかないこともあると思います。

本のタワー積みは大丈夫なんでしょうか?

本のタワー積みは、まさに書店のバベルの塔のようです。

さいごに

私は本のタワー積みをしている書店には行きません。

見ていて不愉快ですから。

私のほかにも同じように感じている人がいるかもしれません。でも、わざわざ声を出すひとは少ないでしょうね。顧客の不満とはそういうものです。

不満を抱く人が皆SNSで火を起こすわけではありません。

不満を書店には言わず、静かに離れて行く人もいると思います。私のように。

それではまた。

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ケンちです。約20年ほど写真業界にいました。いまはIT系企業で主にITとは関係ない仕事をしている普通の人です。Twitterによく出没しています。