読書感想

田中圭一の『うつヌケ 〜うつトンネルを抜けた人たち〜』Kindle版を読んだ感想

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うつに悩むひとは多いです。自分の問題だけでなく、身近な人もある日突然うつになったりします。

どうしてうつになるんだろう。

うつから抜け出したひとは何をしたんだろう。

そんな疑問に答えてくれるのが『うつヌケ』です。



うつヌケってどんな本?

うつヌケ

ぐるなびが運営するグルメ情報サイト『みんなのごはん』に投稿されている『ペンと箸』という漫画を知ってますか?

毎回いろいろなマンガ家の家族をゲストに迎え、そのマンガ家ゆかりのお店や食べ物を紹介する漫画。この『ペンと箸』を描いているのが田中圭一先生。

田中圭一 カテゴリーの記事一覧 – みんなのごはん

ファンの間では二次創作ギャグマンガが有名。手塚治虫タッチや藤子不二雄タッチなど、本人が描いたような本物そっくりの絵が描けるスゴイ漫画家さん。

個人的にはナウシカ姉さんが好き。
三鷹の森の女子会 ~その後~|keiichisennsei|note(ノート)

こんなにゆるくて面白い漫画を描く田中圭一先生も過去に10年ほどうつに悩んだ時期があったそうです。

おもしろいギャグを描く田中圭一先生にうつの時期があったなんて意外でした。でもうつの経験者って外見のイメージではわからないんですよね。ほんとにわからない…

この田中圭一先生が、うつの実体験から学んだうつトンネルから抜けた方法、そしてそのほか多くのうつ経験者の体験談をレポートした漫画、それが『うつヌケ 〜うつトンネルを抜けた人たち〜』です。

漫画といっても最近よくある『マンガで分かる◯◯』とはだいぶ違う印象。

うつといえば暗いイメージをもつひとも多いと思うけれど、田中圭一先生の人懐っこいタッチは暗さを感じさせません。なので気軽に読める漫画に仕上がっています。それでいて内容は濃く深く充実しています。

繰り返しやってくる「突然リターン」

『うつヌケ』は全20話の漫画で構成されています。基本的に1話にひとつの体験談という構成。

最初の3話は著者の体験談になっています。この3話だけでもとても役に立つ内容だと思いました。著者が発見したうつの原因と、うつの対処法が理論的に漫画でわかりやすく解説されています。うつの原因はひとそれぞれなので必ずしも自分に当てはまるとは限らないけれど、考え方の参考にはなるでしょう。

その中で私が注目したのは田中圭一先生が発見した「突然リターン」の原因です。

うつは繰り返しやってきます。これを本書では「突然リターン」と呼んでいます。「突然リターン」に悩まされる人も多いようですね。私もそうです。

この「突然リターン」にはトリガーとなる「何か」がある。これを察して田中圭一先生は自分のトリガーを見つけます。

トリガーがわかれば、対処法も見えてきます。

対処法がわからないことが突然起こると、ひとはだれでもパニックになるでしょう。いっぽう、突然のできごとでも対処法がわかっていれば落ち着いて対応できますよね。

これは寛解(かんかい:全治とはいえないけど病状が収まった状態)に時間がかかるうつにとって大事なポイントだと思います。突然リターンのたびに深いうつになってしまったら、いつまでもうつトンネルから抜け出せませんから。

ただし「突然リターン」のきっかけが見えない人もいます。「何か」を見つけられないこともあります。でもこの場合の対処法も13話と20話に描かれていました。フォローは万全!

あなたの「うつ」もあるかも

うつヌケ 大槻ケンヂの場合

本書は17人の取材を通してさまざまな症状のうつを紹介しています。

うつの症状はひとそれぞれですが、いろいろなタイプの体験談を読んでいると、自分(知人)の症状と重なる話を発見するかもしれません。

私は、双極性障害や自覚のない『ステルスうつ』を読んで「ハッ!」としました。身近な人がまさにそれだったので。

13話には『マンガで分かる心療内科』の原作者であり精神科医のゆうきゆう先生が登場。ゆうきゆう先生の「認知の歪み」の話や、突然リターンの対処法の説明は特に興味深くおもしろかった。

ゆうきゆう先生の説明は、なんというか…

「そうだよね」って穏やかに受け入れられるから不思議。

うつのひとにも伝わる言葉の言い回しや、例え話のしかたも心得ているんだろうなぁと感じました。

マンガで分かる心療内科

うつのパターンはひとつではないけれど、体験者が語るうつの考え、解釈、解決までの道のり、そして付き合い方を読んでいると、共通するものも見えてきます。これは20話の『総まとめ』でわかりやすく解説しています。

『総まとめ』の20話は、それまで個別に語られてきたうつの体験談から見えた問題点や解決法を整理してくれます。なので、多様な体験談を読んだあとでも頭が混乱しませんでした。

さいごに

『うつヌケ』は(こういう表現していいのかわからないけど)おもしろかったです。興味深い話がたくさん。自分に当てはまることも。

うつの本は繰り返し読むことが多い(突然リターンがあるから)んだけど、活字の本はどの章を読み返せばいいのか迷います。

その点マンガはいいですね。絵で探せるから。

うつはいつ突然やってくるかわからないけれど、本書を読めば予兆を察しやすくなりそうです。これは自分のことだけでなく、大事な人のためにも必要な知識かも。

「うつは心の風邪」などと思わないためにもね。(本書で説明してるけどコレほんとに間違いだよ)

他人の目を気にせず読むならKindle版がおすすめ。(しかもKindle版はフルカラー)

途中まではnoteで無料で読めます。興味を持ったひとは、まずはnoteに目を通してみては?

うつヌケ 〜うつトンネルを抜けた人たち〜|keiichisennsei|note(ノート)

それではまた。

田中圭一先生が参考にした本↓

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ケンちです。約20年ほど写真業界にいました。いまはIT系企業で主にITとは関係ない仕事をしている普通の人です。Twitterによく出没しています。