怖い話や不思議な話

側にある恐怖(災害事故の記憶)

投稿日:2015年7月28日 更新日:

飛行機が落ちる。人が大勢亡くなる。

そんな惨事は突然やってくる。

そんな惨事のニュースを見ると思い出すことがある。

まだ生きていた

ある夏の日の仕事の帰り道。

信号待ちの車内から空を眺めていた。

遠くに白い大きな飛行機が飛んでいるのが見えた。

ゆっくり飛んでいた。

異様だった。

異様だと感じた。

その空は、横田基地に向かう軍用機を見ることはある。

けれど、その飛行機は白い。

ジャンボジェット機だった。

子供の頃から知っているその空に、旅客機が飛ぶことはない。

しかもジャンボジェット機が飛ぶには高度が低かった。

見慣れない光景だったから異様に感じた。

家に帰ってテレビのニュースを見てゾッとした。

さっき見たジャンボジェット機だ。

さっき見たときは、空を飛んでいたいたときは、みんな生きていただろう。

私が見たときは、みんな生きていた。

そう思うと怖くなった。

私が見たわずか数時間後には多くの人が亡くなっていた。

1985年(昭和60年)8月12日

御巣鷹山に墜落した123便が空を飛ぶ景色はいまでも忘れない。

映せない

西の方で大きな地震があった次の日。

いつものようにプリンターの前に腰掛けて写真を焼いていた。

次々に現像されるフィルムに遅れないように、ネガ像を見て瞬時に状況の色調を判断して色補正を加えながらプリントをしていた。

蛍光灯カブリならYを引いてMを足す。そんなことの繰り返し。

写真のプリントを何年もやっていれば、ネガを見ただけで、そこに何が、どんな色で写っているのかがわかるようになる。

楽しそうな家族の写真、キレイな景色の写真。

でも写っている内容に気をとられていたら作業が進まない。

だから手を止めず、黙々とプリントする。

ハンガーに吊るされたネガフィルムを取り、プリンターにセットする。

補正。プリント。補正。プリント。

次のフィルム。

補正。プリント。補正。プリント。

次のフィルム。

手が止まった。

『ああ…テレビでこれは映せないな…』

プリントをする。

プロカメラマンが撮った写真はプリントが楽だ。

上手な写真は補正が少なくてすむ。

『交通機関もまだマヒしているだろうに、よく帰ってこれたな』

そんなことを思いながら淡々とプリントをする。

プリント作業は楽だったけれど、気が重かった。

テレビでは高速道路が倒れた影像が印象的だった。

1995年(平成7年)1月17日

街の写真は戦場のようだった。

臭い

私は悲惨な現場を写真を通して見たことはある。

でも影像では、わからないことがたくさんある。

現場にいなければ感じられない、臭いもある。

その日は新宿で仕事を終えたあと、池袋で友人とあう約束をしていた。

新宿駅の電光掲示板に事故のニュースが流れていた。

新宿から池袋に向かう山手線に乗る。

ダイヤは乱れていたが運行は止まっていない。

新大久保駅で停車。

ドアが開いた瞬間、鉄の臭いが車内に入ってきた。

乗り込んできた乗客二人の会話が聞こえた。

「一人じゃなかったよね」

向かい側ホームにブルーシートが見えた。

電車は池袋に向かって発車した。

車内に入った臭いは、しばらく残っていた。

2001年(平成13年)1月26日

この事故をきっかけに、ホームに緊急停止ボタンが設置され、売店は酒の販売をやめた。

日本人を助けようとした韓国人留学生がいたことは忘れてはいけない。

探す人

遠くの街で起きた災害は、現実の実感が薄い。

自分が体験しなければ、痛み、悲しみ、苦悩、恐怖、失望感などは想像でしかない。

三沢基地に勤務していた兄は、復興もままならない街から離れた場所で捜索活動をしていた。

あの日から三ヶ月も経っているから、生存者はもう見つからないだろう。

でも行方不明者がいる限り探し続ける。

ある日、子供を守るように抱っこした姿の親子を発見した。

泥の中から出してあげる。

発見できたのは良いけれど、やりきれない。つらい。と兄は言う。

現場でなければわからない、肌で感じる恐怖がある。

2011年(平成23年)3月11日

東北を襲った地震と津波。

巨大な恐怖は、ある日突然やってくることを知った。

残念だけど

今日もどこかで事故があるだろう。

そして災害は突然やってくる。

残念だけれど。

だれもが平和な一生を送れますように。

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ケンちです。約20年ほど写真業界にいました。いまはIT系企業で主にITとは関係ない仕事をしている普通の人です。Twitterによく出没しています。