「仕事がつまらない」と言っていた人がいました。よくある話ですね。特に不満はないけれど、おもしろいとは思えないのだとか。
話を聞くと、毎日やっていることの意味がよくわかってないようでした。なるほど、これでは仕事がおもしろいとは思えません。
体面販売などは、ダイレクトに感じるものがあったりしますが、お客様と接しないタイプの仕事では、それが何に使われるのかわからないような仕事もあります。
意味のない作業ほど苦痛なものはない
自分の仕事にどんな意味があるのかわからないのは寂しいです。何のためにやっているのか判らないのではハリもでません。
ドストエフスキーの「地下室の手記」ではありませんが、意味のない作業の繰り返しは精神的にも苦痛です。仕事にやりがいを求めるのは人として当然の欲求でしょう。
単純作業の仕事の場合、その内容ついて初めは気にしないで仕事に就くこともあります。難しい作業でなければ、内容についても難しく考えないことってありますよね。短時間パートなどではよくあることだと思います。
例えば、モノを袋に入れて封をする封詰めの作業は、早く正確にできれば基本的にOKです。そのモノが何で、誰の役に立って、世の中にいくつ出回っていて、それによって社会にどんな影響があるのかなんて考えなくても給料は変わりません。
何よりも早く正確にこなすことが大事です。
でも、その仕事の意味を考えなければ、穴を掘って埋めるだけの作業を毎日繰り返すのと同じ感覚になる人もいるでしょう。これではいくら給料をもらっていても、いづれは飽きてしまいます。そして飽きた作業を毎日繰り返すことに苦痛を感じてしまうと思います。
その仕事の意味はなんですか?
自分の仕事が世の中のどんなことに役立っているのかが解ると、不思議とやりがいが出てきます。給料は変わらなくても仕事が楽しくなってきます。自分の存在意義、世の中から必要とされている実感、これを感じることができれば、昨日と同じ作業でも、取り組む気持ちが変わってきます。
私に「仕事がつまらない」と言った人の仕事はデータ入力でした。毎日、帳票を見ながらキーボードを打ち続ける仕事です。
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その人は、毎日毎日、データ入力をしていますが、そのデータが何に使われるのか知りません。データは何種類もあるし、受注契約が終わればまた新しいデータが入荷されます。そのデータがどのような使われ方をするのか、考える余裕もありませんでした。
入力の仕事自体は嫌いじゃないけど、これが何の役にたっているのかがわからない。早く正確に打つことができても達成感がイマイチない。そんなことを言い出したのです。
早く正確に入力できれば良い仕事ですが、それだけでは穴を掘って埋めるのと同じ症状が出てきたようです。仕事の意味を考えるのはとても良いことなので、この不満が生まれたことは正直嬉しかったです。
説明してみた
長期的に受注している仕事を例に、そのデータが世の中のどんなことに使われているのか、その人に説明しました。
後行程で、どのような処理をして、最終的にどのような情報にまとめられて、どのように活用されるのかを。
そして、そのデータが毎年ニュースで報道されること、学校でも利用され、子供の教育にも活用されることを伝えると、「知ってます!あのデータは私達が入力したものだったんですか?!こどもと話題にすることもあります!」と、とても驚いていました。
一見、自分たちの生活とは無関係に思える仕事でも、巡り巡って自分に返ってくる仕事はたくさんあります。極端なはなし、自分とまったく関係のない仕事など世の中にはないのかもしれません。どんな仕事もどこかで繋がっている、そんな気がします。
話が終わって
その人は、いまも毎日毎日、データ入力の仕事をしています。早く正確に入力するために、無駄な私語は許されません。黙々と入力をします。ただ、いままでよりも帳票を見る目が変わったようです。
休憩時間に、いま入力しているデータはこんな使われ方するのかな?などと聞いてくることもあります。仕事の内容の意味を考えるようになってきたその人には、穴を掘って埋めるだけの仕事ではなくなりました。同じ仕事なのに意味を考えたら楽しくなったようです。
給料は変わらなくても仕事が楽しくなった。
これって得ですよね。
さいごに
自分の仕事が世の中のどのようなことに使われ、どのように役立っているのかを考えることはとても大切だと思います。そんなことは考えずにお給料が貰えれば良いと思う人もいるでしょうけど。でも、同じ給料ならやりがいがあったほうが人生たのしいじゃないですか。
自分の仕事が世の中と繋がっていること、それは親や子供も知れば嬉しいことだと思います。自分も、親の仕事が世の中の役にたっていることを知ったら嬉しいですよね。
あなたの仕事は世の中のどの部分で使われてますか?
それではまた。