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副業する人に残業代が払われない理由

投稿日:2017年2月8日 更新日:

働き方の多様化が進んでいるようですね。

副業を容認する会社も出てきています。副業は法律で禁止されていることではないから、副業を容認する会社が評価されるのもへんな感じですけど。

副業が認められることを手放しで喜んでいいのかな。という疑問が少しあるので書きます。

副業が認められること自体は良いことだと思いますが、副業に合わせた法律の整備が進んでない気がするので。

ここで書くのは本業と副業のいずれも雇用契約を結んでいる場合の話です。



副業したら残業代はどうなる?

まず残業代のはなし。

以下の勤務時間で働いたとしましょう。

  • 本業で6時間
  • 副業で3時間

6時間+3時間で9時間働いたことになります。

労基法では1日8時間を超えたら残業代を払いなさいというルールがあります。残業代なんてもらってないという人もいるかもだけど、こういうルールがあるんです。

別々の会社で働いても1日の労働時間が8時間を超えたら残業代が付きます。

知ってました?

第三十八条  労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

労働基準法

「事業場を異にする」とは、労働者が1日のうち、甲事業場で労働した後に乙事業場で労働することをいう。この場合、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も含まれる。

マルチジョブホルダーに関する現行の労働時間規制について

上の例の場合、本業の契約時間が6時間の場合、残業代を払うのは副業の会社です。3時間しか働いてないのに1時間分は残業代(0.25増)が付きます。副業の会社はかわいそうですね。

ただし本業の契約時間が5時間で、このあと副業で3時間働くことを知りながら6時間働かせた場合は残業代を払うのは本業の会社です。超過した原因が本業側にあるので。

ややこしい!

このややこしいルールに従って残業代が付くかというとかなり怪しいです。

なぜなら本業の会社も副業の会社も、相手の勤務時間を知らないからです。

法律で「勤務時間を共有しなさい」というルールも義務もありません。
勤怠情報を共有する義務はない

そもそも自社が残業代を負担することを知らずに放置される可能性もあります。

つまり、長時間労働をしても残業代はもらえないという状態が起こる可能性が十分にあるんです。

もちろん残業代を請求してもいいんです。

しかし本業と副業の会社がそれぞれの勤怠情報を共有しないかぎり、勤務時間は自己申告になります。

自己申告の情報で残業代を払ってもらえるかというと…どうでしょう。無理があります。ウソつき放題だし。

政府が副業を推進するのなら、本業と副業との間で勤怠の情報の共有を法律で定めなければ労働者の権利(残業代)は守れないのでは?と思います。

労災はもっとひどい

残業代はまだいいほう(良くないけど)で、労災のはなしになるともっとヒドイです。

昼間は本業で働いて、その疲れを引きずったまま夕方から副業先で働く人もいます。

疲労が原因で副業先で事故を起こしたとしましょう。

この場合の労災の給付金は副業先の賃金を基に計算されます。『副業』というくらいだから賃金は本業より少ないでしょう。その少ないほうの賃金が労災の給付金の基準になるんです。

疲労により発生した事故の原因は本業の勤務も含まれるはずですが、本業の賃金は労災の給付金に反映されません。これ、明らかにおかしいと思いますが、いまの法律ではそういうルールになってます。

二重就職者が業務災害にあった場合には、業務災害の発生した事業場から支払われていた賃金をもとにして平均賃金が算定され、原則としてそれが保険給付の額の基礎となる給付基礎日額となる。

労災保険制度の在り方に関する研究会における論点

さすがに検討課題になっているけどなかなか話が進まない模様。上の報告書は10年以上前(2004年)のものです。ずっと前から問題視されてるのに改善されません。

多様な働き方を求めて副業を容認するのはいいけれど、お金に困って身体に鞭打って副業してる人には深刻な問題です。

これでは長時間労働を強いられる貧困層は救われません。

雇用保険に入れないかも

雇用保険の加入条件のひとつに以下の制約があります。

1週間の所定労働時間が20時間以上あること

複数の職場で仕事をしている人は、いずれの職場も1週間に20時間未満の勤務をしていたら雇用保険に加入できません。雇用保険は事業所単位で加入条件が決まるからです。

これでは毎日合計8時間働いても雇用関係に加入できない状況が生まれます。

これは残業代の問題と同じです。勤怠情報を労働者単位で集計せず、会社単位で集計しているからこのようなことになります。

仮に雇用保険に加入できたとしても失業時に問題が起こります。

本業で失業しても副業がある場合は失業状態といえるのかという問題です。

失業状態でないと判断されれば失業保険は給付されません。副業でも仕事をしているのですから現行のルールでは失業状態とはならないでしょう。(こうなるともう副業じゃないけど)

これではなんのために雇用保険に加入しているのかわかりません。

雇用保険は本来、労働者を保護する法律なのにルールが労働者基準になってないんです。これは労災保険と同じ問題です。

副業の推進の前に、こういった法律の整備を進めなければいけないと思います。

本業の会社には都合が良い?

副業を容認する会社は評判がいいようですが、正直なんだかな…という感じです。

本業の会社はいいですよ。特になにもしなくていいから。(規約の改定とかあるけど)

自社で長時間労働をさせなくていいから社会的な評価も上がるでしょう。自由な働き方を認める優良企業と呼ばれるかも。

従業員はお金の不足を他社で働けば解決できる選択肢を与えられるから賃金の不満も出にくいかも。

苦労するのは副業先の会社と労働者です。

短時間労働でも残業代は負担しなきゃいけないケースが生まれるし、事故が起きたら労災の手続きもしなきゃいけない。

貧困層のダブルワーカーを受け入れる先は短時間労働者を使う飲食業やコンビニなどが多いのではないでしょうか。管理をきちんとやってくれればいいんですけどね。

コンビニなどはかなり不安です。

労働者は現行の法律では正しい保証がされません。たくさん働いても、労働時間が分散された結果、本来受けられて当然のはずの権利が消えてなくなります。

さいごに

他にもいろいろ心配な点はあるけど、わかりやすいところで残業代と労災と雇用保険を取り上げてみました。

「副業がダメ!」と言いたいわけではないんです。

副業に寛容な会社が増えるのはいいです。

多様な仕事で幅広い体験や経験を積むものいい。

でも、今の法律で貧困層がお金目当てでダブル(マルチ)ワーカーになるのが怖いんです。

会社単位では労基法を守って良い社会に変わっているように見えても、実態は正当な保証が与えられない長時間労働者が増える状況が生まれるんじゃないかと。

副業の容認は管理が行き届かない長時間労働の容認にもつながる可能性があることが心配です。

政府は副業の推進と同時にダブルワーカーを保護する法整備も急ぐべきだと思います。

そういえば以前こんな記事も書いてました。
会社が副業を禁止にする理由【追記あり】

それではまた。

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