メールの誤送信は個人情報の漏えいなどのリスクが高い割に対策が不十分な人が多いと感じます。社外の人にメーラーの設定などを聞いても「送信時に気を付ける」といった事実上対策がされてない話も聞きます。今回は無料で利用できる有名なメールソフト「Thunderbird」を例に、メーラーの基本機能だけでできる誤送信をしない工夫を書いてみます。
誤送信するきっかけ
誤送信をするきっかけは、メールアドレスの取り違えに気づかないことが原因ですよね。
なので、このメールアドレスの取り違えをいかになくすかが誤送信を防ぐポイントとなります。
目視で確認しているはずのアドレスを間違える理由は「見間違え」という単純なミスです。
たったこれだけの単純なミスで送信相手を間違えてしまうのですが、このミスのきっかけとしてメーラーの罠にはまっている場合があります。
メーラーの罠
わざと罠を仕掛けているわけではありませんが、メーラーの便利機能が誤送信を誘発していることはあります。
その一つがオートコンプリートです。
最近のメーラーは宛先欄に名前を入力すると、入力途中で過去に送信したメールアドレスの一覧が出てきます。一見便利な機能ですがこれが罠になります。
宛先を入力している途中で表示される一覧の中には正解がひとつしかありません。他は不正解です。一覧には誤送信先がたくさんでてくるわけです。これでは間違えないようにするほうが難しくなります。
オートコンプリートの罠にはまらないようにするためには、この機能を使わないことです。
宛先欄に直接入力するのはやめてアドレス帳からマウスで選択する(手で入力しない)方法のほうがミスは防げます。新規の送り先はアドレス帳に登録してから使うようにします。
アドレス帳からマウスで選択した方がミスが防げるのはなぜか?
その方法を以下に説明します。
アドレス帳の使い方で誤送信を防ぐ
取引先毎にアドレス帳を作る
まずは取引先毎にアドレス帳を作ります。
「Thunderbird」のメニューの「アドレス帳」を押してアドレス帳を開きます。
アドレス帳のメニュー「ファイル」「新規作成」「アドレス帳」を選択します。
「新しいアドレス帳」の名前に取引先名を入力して「OK」を押します。
メールアドレスを移動する
取引先名のアドレス帳に、この取引先の人のメールアドレスを移動します。
マウスのドラッグ&ドロップで移動できます。
すべて移動したらアドレス帳を閉じます。
メール作成画面でアドレス帳を表示する
「Thunderbird」のメニューの「作成」を押してメールの作成画面を開きます。
メール作成画面のメニュー「表示」「アドレスサイドバー」にチェックを入れてください。
左側にアドレス帳が表示されます。
宛先にメールアドレスを入力する
メール作成画面の左側に表示されたアドレス帳のプルダウンメニューを開いてください。
先ほど作った取引先名のアドレス帳がありますよね?取引先のアドレス帳を選択してみましょう。
すると取引先の人のメールアドレスだけが表示されたはずです。
このメールアドレスをダブルクリックすると宛先に挿入されます。
この方法なら
- 取引先を選択
- 宛先のメールアドレスを選択
という2つのステップがあります。
取引先には他の取引先のアドレスは表示されません。このため誤送信のミスが大幅に減ります。
取引先企業の部署が多い場合は、「株式会社●●△△部」のように部署単位でアドレス帳を作ってしまえばさらに細分化できます。
テンプレートで誤送信を防ぐ
毎月、定例的に送信しているメールがありませんか?
月次報告などのように、宛先が毎回同じで本文もほとんど一緒、月の数字だけが変わるようなメールです。
添付ファイルだけが変わるみたいなものって多いですよね。こんなメールはテンプレートを使うと便利です。
テンプレートを使えば誤送信はまずありません。なぜなら、宛先のメールアドレスもテンプレートに含めることができるからです。
最初の設定さえ間違えなければ、今後はアドレスの入力が不要なので間違えようがないわけです。
テンプレートの作り方はとても簡単です。
定型文、件名、宛先を入力する
いつも通りメールの作成画面で定型文を作ります。
いつもと違うのは、毎回変わる文字を「●」にすることと、添付ファイルを付けないことです。
「●」でなくても見やすい文字なら「■」でもOK。
ここだけは毎回書き換える部分なので数字ではなく見やすい記号にしておくといいでしょう。
件名と宛先もいつも通り入力します。宛先はCCとBCCもいつも入力してください。
テンプレートとして保存
出来上がったら「ファイル」「選択して保存」「テンプレート」を選びます。
これでテンプレートが出来ました。
開いている作成画面は閉じてOKです。
テンプレートからメールを作成
「Thunderbird」の左側にツリー表示された「テンプレート」フォルダに、先ほど作ったメールがあります。
ダブルクリックで開くと先ほど作成したままの画面が開きます。
次回からはこのメールの「●」を変えて添付ファイルを添付して送信するだけOKです。
テンプレートフォルダのメールは「テンプレート」なので消えません。なんども使い回しができます。メールの宛先もCCもBCCも、テンプレート作成時のまま再現されます。
最初に宛先を間違えなければ、誤送信する心配はありません。定型文のメールはすべてテンプレート化しておくと、メールの作成も早く誤送信も防げます。
さいごに
今回は「Thunderbird」を例に以下の二つの方法を紹介しました。
- 取引先毎にアドレス帳を作る
- テンプレートを使う
これだけでもメールの誤送信のリスクはかなり減ると思います。
お金と時間をかければ、誤送信を防ぐフィルタリングサービスなどもありますが、今回紹介したような方法で誤送信を防ぐこともできます。
メールはとりあえず送れれば良いものなので、アドレス帳の整理をしてない人もいます。テンプレートというものがあることを知らない人も多いです。
メールの機能は上手に使って、仕事のミスを減らしたいものです。
それではまた。